Menu

当院における放射線治療装置精度管理の試み


どうぶつの
総合病院
放射線腫瘍科技師長
渡邉 暁
人の医療において放射線治療装置の不十分な精度管理が原因による医療事故が全世界で多数報告されています。
日本においても20年以上前から生命にかかわる放射線治療事故が多数発生しており、2021年にも北関東の大学病院から報告されました。
放射線治療装置の精度管理は、線量(治療に用いる放射線の量)と位置(治療する範囲)に大別することが出来ます。
特に線量の管理は治療成績に直結し、管理が不十分な場合には治療成績の低下や大きな副作用を引き起こすことがあります。
人に対する放射線治療において日本放射線腫瘍学会では安全な放射線治療を提供するために、自施設の線量管理の他に第三者による線量の評価を推奨しており多くの放射線治療施設が実施しています。
動物の医療においてこの評価制度は確立していませんが、当院は福島県立医科大学附属病院のご協力を得て、第三者による自施設放射線治療装置の線量確認を行っております。
ガイドラインでは基準照射野(10㎝×10㎝)において±5%以内の線量精度の確保が示されていますが、当院の測定結果(シート①)はガイドラインの精度を十分満たす内容でした。
また当院における高精度放射線治療(VMAT)においても同様の結果(シート②)を得たことをご報告いたします。

※当院で通常行われている基準照射野の線量精度は±1%を確保しており、高精度放射線治療の中心線量は±2%の線量精度を目標としています。