当科で実施可能な検査

高血圧や低血圧の検出のため実施します。通常の診療においては非観血的（出血などを伴わない手法）な方法で測定します。超音波ドプラ法は収縮期血圧を測定します。オシロメトリック法では平均血圧と収縮期血圧および拡張期血圧を測定できます。来院や検査の興奮による血圧上昇（白衣高血圧）を避けるため、なるべく落ち着いた状況で実施するように心がけます。

心臓は電気的興奮によって拍動しており、その電気興奮を波形にして記録するのが心電図検査です。波形のリズム（調律）やレート（心拍数）を確認することで、不整脈、心臓内の電気の流れの異常（伝導障害）や、心負荷の検出に用いられています。

通常の心電図検査より長く心電図を観察できます。近年の技術の進歩により、小型のデバイスにより連日の心電図の観察が可能になりました。犬猫においても最小限の負担で検査が可能になってきています。装着後に自宅で通常の生活をしてもらうことで院内の短時間の観察では確認できない不整脈の有無の確認、臨床徴候（失神やふらつきなど）と不整脈の関連の検出、不整脈の数の算出のために使用されます。また、院内で重篤な患者に装着し、心電図の持続的なモニターを行うためにも使用します。

血液中の酸素と二酸化炭素、酸塩基平行（酸とアルカリのバランス）、乳酸やヘモグロビンの量を測定することができ、それによって心臓、肺、腎臓の機能や体の状態を調べます。動脈血を採血をすることで、体の酸素化の状態を評価することも可能です。

採血することなく体の動脈血の酸素の状態（動脈血酸素飽和度）と脈拍数を連続的に測ることができます。パルスオキシメーターという器械で皮膚を通して測定することができます。興奮やパンティング（ハアハアと口を大きく開けて舌を出してする浅く速い呼吸）で体が動いてしまう場合、皮膚が黒い場合、毛が多い場合は測定が困難になりますが、動物に負担をかけずに行えるとても便利な検査法になります。

循環器科の診療において胸部X線検査は、心臓の大きさや陰影（形態）、肺の気道や実質、胸腔内、縦隔における病変、うっ血性心不全（肺水腫、胸水貯留など）の評価などに用いられます。

超音波検査とは、超音波（人には聴こえない周波数の音）を対象物に当てて、その反射を映像化することで対象物の見えない内部を評価することのできる画像検査法です。超音波の反響（エコー）を用いた検査なので、エコー検査とも呼ばれます。心臓超音波検査では、心臓の形態や内腔、血流の評価、心機能などを測定することができ、心臓の器質的異常、異常血流、機能低下を明らかにすることができます。本検査には、Bモード法、Mモード法、ドプラ法などの複数のモードがあり、心疾患の診断には欠かせない検査となっています。

胃カメラ（内視鏡検査）のように細長い超音波プローブを口から挿入し、胸部の食道の直下にある心臓を描出します。通常の心臓超音波検査では見えにくい心臓の基部の観察やより詳細な観察が必要な場合に行います。犬猫では全身麻酔下で検査を実施します。

首や足の血管（動脈もしくは静脈）から細く柔らかい管（カテーテル）を挿入し、心臓の各部屋や血管の内圧の測定や、造影剤を使って内腔の形態や冠動脈の走行を評価することできます。また各部屋で採血を行うことで、酸素化の状態を評価することもできます。犬猫ではカテーテル治療（インターベンション治療）とともに検査を実施することが一般的です。

X線検査同様にX線を使いますが、X線検査のように一方向からX線を当て体の中を2次元的に画像化するのではなく、CT検査では体の周りからX線を当て3次元的に画像化できます。そのため、臓器の形がより詳しく立体的に分かります。心臓CT検査では造影剤を用いることにより、複雑な心奇形の形態評価や冠動脈の走行を評価することことが可能です。X線検査と違って撮影に一定時間要するため、通常は全身麻酔下での検査になります。